今回は、冬場になると増加するエコキュートの代表的なトラブルをご紹介したいと思います。
エコキュートは、基本的に屋外に設置し、貯湯タンクに貯めたお湯をお風呂や台所で使用するシステムとなっているため、外気温の影響を受けやすいシステムと考えておいた方が良いです。
なぜ冬場になると「お湯が出ない…」というトラブルが多くなるかというと、エコキュートの配管が凍結してしまうからです。ちなみに、こういった配管の凍結トラブルは、もともと冬場は極寒になる地域で起こると考えられるものですが、実はそうでもないのです。冬場になると、毎日氷点下の日が続く地方では、エコキュートなどに何らかの凍結防止対策を行っていますので、逆に配管が凍結してお湯が出ない…なんてトラブルは少なくなります。つまり、冬場でも氷点下の気温になるようなことが少ない地域ほど注意しておかなければいけない問題なのです。
もちろん、気温が上昇し、配管の凍結が無くなれば普通にお湯が出てくるようになりますので、「しばらく待てば良いだけだし凍結なんて怖くない!」などと考える人もいることでしょう。しかし、配管の凍結は、配管自体を破裂させる危険があるため、エコキュートの凍結対策を無視してしまえば、予想外の出費になる可能性もあるのです。
そこで今回は、エコキュートが凍結してしまいお湯が出なくなった時の対処法や、そもそも凍結させないための対策についてご紹介します。
冬場に突然お湯がでなくなった...そんな時は??
朝起きて顔を洗おうと思ったら、蛇口からお湯が出ない…リモコンにはよくわからないエラーコードが表示している…
エコキュートを利用している方であれば、寒い冬場などに上記のような状況に陥る可能性が誰にでもあると言えます。特に、普段は寒くても「0℃」ぐらいまでしか気温が下がるようなことが無い地域などでは、年に数回ある極端に寒い朝などに、こういったトラブルに見舞われる可能性があります。これは、外気温の影響によってエコキュートの配管が凍結してしまった…ということが主な原因です。基本的には、時間が経過して気温が上がれば凍結が無くなりますので、そこまで深刻なトラブルではないのですが、エコキュートを導入して10年近く経過しているご家庭などでは、そもそも配管が老朽化しており、凍結によって配管に亀裂が入ってしまう…なんて恐れもあるのです。配管の破損にまで発展した場合は、修理費用がそれなりにかかってしまうと覚悟しておきましょう。
それでは、上記のように、エコキュートが凍結でお湯が出ない…となった場合の対処法をいくつかご紹介しておきましょう。
しばらく放置して外気温が上がるのを待つ
夜中に気温が下がったことにより凍結したのであれば、しばらく放置しておくだけでお湯が出るようになります。日がのぼり、外気温が上がっていけば、配管の凍結も自然と溶けていきますので、外気温が上がったらリモコンのエラー表示を解除して、エコキュートを運転してみましょう。特に急いでお湯を利用する必要がない場合には、給湯栓を少し開いて待っておくだけで自然に問題が解決する場合も多いです。
すぐにお湯を使いたいときは...
エコキュートが凍結している場合で、すぐにお湯を使いたいときもあると思います。そのような場合には、上記のように悠長に待っていられない…と考える人も多いことでしょう。したがって、無理やり凍結部分を溶かすために、凍った配管部分にぬるま湯をかけるなどの対処をしましょう。エコキュートが凍結してお湯が出なくなるのは、タンクからヒートポンプにつながる配管と、タンクから浴槽の循環口につながる風呂配管の凍結が原因です。この部分にぬるま湯をかけて溶かしてください。
ただし、この対処法を行う時に注意が必要なのは、「できるだけ早く溶かしたいからと熱湯をかけてしまうのはNG!」だということです。配管にかけるお湯は人肌よりも少し暖かいぐらいのぬるま湯をかけてください。いきなり凍結した配管に熱湯をかけてしまうと、配管が破損してしまう可能性があるのです。まず、配管にタオルを巻いて、その上から徐々にぬるま湯をかけてください。最後に、水分をきちんと拭き取ればお湯は出るようになるはずです。
エコキュートの凍結を防ぐには
冬場にエコキュートの凍結で「お湯が出ない…」となった場合の対処法は分かっていただけましたね。しかし、本来は、きちんと配管の凍結が起こらないよう、事前の対策を進めておくべきものです。エコキュートの凍結を防ぐにはいくつかの方法がありますので、それぞれを簡単にご紹介しておきましょう。
一般的に有効と言われているエコキュートの凍結対策は以下の3つです
- 1お湯の蛇口から、ちょろちょろ水を出し続ける
- 2入浴後、浴槽にお湯をはったままにする(フルオートのみ)
- 3各部配管に保温対策をする
対策① お湯の蛇口からちょろちょろ水を出し続ける
これは非常に簡単なエコキュートの凍結対策です。蛇口を少し開けて、ちょろちょろと常に水が出る状態にしていれば、配管内の水も流動し続けますので凍りにくくなるのです。出す水の量ですが、1分間にコップ1杯(200ml)程度の水で構いません。もちろん、常に水を出しているわけですので、水道代が気になるかと思いますが、一晩中出していたとしても100円以下で済みます。
ちなみに、蛇口から出す水は、そのまま排水口に垂れ流しにするのではなく、バケツなどで受けるようにしておけば、翌日の洗濯などに溜まった水を利用できると思います。なお、エコキュートの機種の中には、温度設定で『水モード』にできない物もありますので、そういった機種の場合はこの手法があまりオススメできません。なぜかと言うと、一晩中お湯を出しっぱなしにしてしまうと、必要なときにお湯が足りなくなってしまい、日中の高い電気代でお湯を沸き増しする必要が出てくる可能性があるからです。
他にも、凍結対策をする方法がありますので、エコキュートの機種と相談しながら、対策手段を決めましょう。
対策② 入浴後、浴槽にお湯を張ったままにする
これも方法的には単純です。お風呂に入った後は、全てのお湯を排水するのが普通ですが、凍結対策を考える場合、循環口の中心から10cm以上を目安としてお風呂のお湯を残しておくのです。
フルオートの場合、外気温が約3℃を下回ると、風呂配管の凍結予防運転を自動で行う機種があるのです。この機能によって、配管内の水が流動しますので、エコキュートが凍結してしまうのを防ぐことができるのです。ちなみに、浴槽に水が無い場合には、循環口から水が出たり、30分おきに作動音がしますので、残り湯が少ない場合は、あらかじめ水を貼っておくのがオススメです。
対策③ 各配管に保温対策をする
上記2つの対策は、特別寒い日に行う凍結対策という側面が強く、あくまでも一時的な対策となります。恒久的にエコキュートの凍結対策を進めたいと考える場合には、冬場でも配管が凍結しないように何らかの保温対策を進めるのが良いです。
基本的にですが、給水・給湯配管、ふろ配管、ヒートポンプ配管などは、きちんと断熱材で覆われています。しかし、経年劣化などが原因となり、断熱材が破損してしまうと、配管が凍結してしまうのです。配管の断熱材不良を見つけた場合には、メーカーや販売店に連絡し、補修してもらうのがオススメです。また、配管の凍結防止用アイテムもいろいろありますので、そういった物で対策をするのもオススメです。
まとめとして
今回は、冬場になるとエコキュートのトラブル事例として急増する「突然お湯が出なくなってしまう…!」件についてご紹介しました。エコキュートだけでなく、他の給湯器でも同様なのですが、昨日まで問題なかったのに、朝起きるとお湯が出ない…というトラブルが急増します。これは、外気温の低下によってお湯を送るための配管が凍結してしまうことが原因です。配管の凍結などは、北海道などの極寒地域で起こるものだと考えている人も多いですが、そういった地域では、そもそもしっかりとした凍結対策がなされているため、あまり凍結の心配はないのです。それよりも、通常は配管が凍結してしまうような気温にまで下がらない地域の方ほど注意が必要だと思います。
こういった地域では、配管の凍結対策があまりされていないことも多いですし、「凍結した場合の対処法」を知らない人も多いぐらいなのです。したがって、エコキュートが壊れてしまったと勘違いし、余計な箇所を触って症状を悪化させてしまうような人もいるほどです。エコキュートの配管凍結は、上述したように、放置していれば自然と直るものなのですが、配管内で凍結や解凍が繰り返されてしまうと、配管自体が劣化してしまう危険性が高いです。したがって、本来は「凍結させないためにはどうするか?」ということを考えなければならず、エコキュート本体に『配管凍結防止機能』などがついていない機種であれば、配管の凍結対策をしておくのがオススメですよ。